兵庫県三田市の名店 BARNSHELF でHATS というイベントを開催していただいています。11月2日から17日まで。本日は13日。残りわずか。
何から書けば良いのか、とても迷ってしまう。
イベントの前日から三田にいた。その更に前の日から仙台を発って、夜行バスで三宮に向かった。仙台三宮間のバスは無いので、一旦東京まで行って、八重洲で一杯引っ掛けてから三宮行きのバスで向かった。14時間
道中は、まったく寝ていて覚えが無い。
僕はバス移動が億劫ではない。まったく苦痛が無い。
当然バスで移動する理由は「安いから」だ。
長時間じっと座っていることに何の抵抗も無い僕にとって、ただ寝ているだけで目的地に着く便利な乗り物と思っている。バス。そして安い。
新幹線や飛行機は、お金持ちでそうとうに時間の無い人達の乗り物だと思っている。人にはそう思っていると言う事にしている。
でも、帰りは飛行機だった。勿論、まったく寝ていて覚えが無い。
そんなことはどうだっていい。HATS。
バーンシェルフでのHATSは現在進行形だけど、いまの時点で本当に楽しくやらせていただいている。
イベント前に仕込んだ帽子。イベントが始まって、その空気を味わって作りたくなった追加品。
受けてくれる小前さんの存在が、僕とお客さんを、僕の作った帽子を通して繋げてくれる。たくさんの人達の元へ、作った帽子が嫁いでいる。作り手、お店、お客さんの関係が本当に有機的なイベントが進行中だと思う。
正直、半年に1回の展示会って何なんだ?と思ってしまうほど、送り出したパワーがバーン的に変換され、届いて、また帰ってきて・・・と、パワーがぐるぐるりと回っている感じがする。
すごくごく単純なことだけれど、長年「正しい」と思われている仕組みでも生まれにくいこの単純なサイクルが、出来そうで出来るものじゃない。アパレルでは。
でも、バーンでのHATSでは当たり前のようにそれが生まれている。
第一は、バーンシェルフというお店の存在。お客さんとの有機的な関係が大きいと思う。僕は本当にそう思う。
耕された畑に、僕の作った種が落とされている感じがして、グングンのびのびと トトロのあのシーンのように ドワーッ!っとなる感覚がある。
僕は初日の15時くらいにはバーンシェルフを後にしなくてはならなかったのですが、もっともっと居たかった。ずっとバーンでお客さんと話していたかった。楽しかったし、アイディアがグングンと沸いた。そして、物を作る人間として 安心感がとてもあった。ちゃんと届くんだという安心感。
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「HATS」というイベントは、今年の6月に うちのお店「NOWHERE ELSE」ではじめてやった帽子を中心としたイベントです。
いつの間にか、展示会というものをベースとして洋服を提案するようになっていた。半年に1回。年に2回。春夏と秋冬。おおよそ半年前に 半年先の洋服を揃えてバイヤーさんに見ていただいて オーダーをいただいて生産する。
一方僕は「昨日、こんなの作っちゃったんだけど、良いでしょ~!」ってのが好きだ。もともとは、そんなふうに物を作っていた。
季節のものを作るから、いついつまでに作らなくてはいけない!というのが無いと始まらないから それを否定することは無いけど、 やはり物を作る人間なんだ。僕は。
突然のように良いアイディアが生まれる時もある。偶然ではなく必然というか 明らかに努力なんだけど、努力と呼ぶにはあまりに楽しい時間にアイディアが生まれる。だから、窮屈に思いながら物を作ることが得意ではない。不得意だ。
勿論展示会で並んだうちの洋服は当然全部好きだ。だけど、そのシステムだけだとなんか窮屈。
いつからか思っていた。展示会ベースで作る洋服とはまったく別に、アドリブで作ったり、生地ストックとか ロットとか考えないで ほとんど「さっき作った」ような物を、色んな仕組みやコストも気にせず 思い切り提案できる場があったら良いのに。
それがあれば、展示会ベースで表現しているものと・・・それとが2つあって、それが一番しっくり来るというか、どう見られるかよりも 僕がしっくり来る。
そんな思いからはじめたnowhere elseという場所。そしてHATS。
ある種即興的な帽子ばかりを作って提案してみよう!そんなイベントだった。
「物があふれている時代だ!」とか 「誰でも情報を発信できるようになって、一つ一つの情報が薄くなった!」とか言われます。僕も、そんな風に思ったりします。
物を「こんな物が足りてないぞ!買おうぜ!」と言って売ろうとしても限界がある。もう物は沢山ありますよ。もう少しおなかすいてからちょうだいよ!と思うのが普通。
そう思ったら、僕らが物を作る理由がはっきりすると思う。
歌を作ることとか、笑いを作ることと同じだと思う。勿論、洋服はタダで着たりは出来ないんだけど・・・でも、音楽とか笑いとかと同じくらいのお金しかかからないとしたら、じゃぁ求められるものって何なんだ?
その作り手にしか出せない独特の個性で、他に変えがたい魅力だったり それを通して得られる楽しさだったり、気持ちのよさだったりするんだと思う。
売れるということは、どんどん難しくなって行く反面「良い物」は増えてきていると思う。でも、その「良い」というのって、ただただ綺麗とか ただただ質の高いものが増えるだけで、違いというものはあまりハッキリとしない。
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バーンシェルフにはじめて行ったのが2015年だった。そんなに前だったけ?
京都のこれまた名店BOLTSの朝陽さんご夫婦に案内いただいて伺ったのが初めてだった。
その前から、というかオープン前からバーンシェルフのブログを読んでいた。その当時の多くの皆さんと同じように、影響を受け、りんご箱を沢山買った。
小前さんは10年前にうちの帽子を買ってくれていた。初めてお会いしたときに見せてくれた。UNPLUGGEDで購入したものだ。
僕自身は、本当につまらない人間で 人徳も何も無いような・・・卑下するわけでもなんでもなく ほんとうにそんな人間なんだけど、僕が作ったものはこうやって、めぐりめぐって 僕が会ったこともない、でもネット越しにいつも見ていた人のもとへ渡っていて、いつかのタイミングで繋ぎ合わせてくれる。
朝陽さんとの出会いも同じだ。こんなうれしい出来事がある幸せを、できればいつだって忘れずにいたい。
その後、嬉しいことにお取り扱いいただけるようになり 展示会でもお会いして そして三田で仙台で、一緒にお酒を飲んだりして、お互いに一気に距離を縮めるタイプではないことは、出会った時から何となく分かっていたので、ゆっくりと。
それでもお会いすると 僕は肩の力が抜けて、デザイナーとしてというよりは 同い年のただの八重畑としていられるような気がして リラックスしてお付き合いできるお一人。
そんな小前さん、バーンシェルフでHATSをやっていただくことになった。
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さて、ここからやっとHATSの前日からのことを書こうと思うんだけれど・・実はバーンでのHATSはこのブログを書いている今の時点で仕舞ってしまった・・・・。正確には昨日で仕舞ってしまった。
数日にわたって書いているこのブログ。本当はイベントの後半にあわせて書き始めたものだったのだが、適当に終わらせることが出来なくなって、今に至ります。
ちなみにとても余談ですが、僕は「仕舞う」という漢字を良く使う。「終う」というのはとても嫌で「仕舞う」がいい。「箪笥に仕舞う」という感じが好きで、また開けたときに、懐かしいような 新鮮なような 何とも言えない温かさがあると思う。
終うでは終わってしまうし「仕舞う」とういう字面もいい。
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HATSの前日11月1日。その前日10月30日の午後16時55分発の高速バスに乗り、22時15分に東京駅八重洲口に到着した。降りてすぐの中華屋で、水餃子とドラゴンハイボールを頼んだ。と思う。ハッキリとしない記憶。
11時ちょうどくらいの三宮行きのバスに再び乗り込み、途中USJとかに寄りながら、8時10分くらいに三宮に到着。よく寝た。前日、というと29日の夜、徹夜していたから よけいに良く寝た。
三宮。神戸に来たのはたぶん2回目だけれど、まじまじと町を歩くことは初めて。
といっても、当然開店前の静かな町を歩いただけなんだけれど、やっぱり洗練されているな~と思った。古い洋館のような建物が凛として建っていた。
浅野ゆう子のような女性が歩いていそうな、トレンディーさが漂っていた。エルメスのスカーフを皆巻いていた。全員コンサバだった。
特に何か決めずに来たので、時間は多分あったのだけれど、僕は何もしなくても、基本的に時間を潰せる人間だから当てもなくブラブラとしていた。9時になった。朝のみが出来る所を1件教えてもらっていた。500円でお酒が一杯と奴とらっきょ それと焼き鯖がつく。500円は安い。小前さんが三田から迎えに来てくれるのは10時。なんて好い時間、なんて好い一日を予感させる時間なんだ。
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さてさて、本日は12月2日です。いったいいつまでかかってしまうのか・・・このブログ。あっというまに2019年の11月も終わり、ラスト一ヶ月。もうすぐ2020年。
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朝の10時に、三宮に小前さんが迎えに来てくれた。
お久しぶりです。笑顔を見て、とても安心した。
車に乗り、六甲のあたり?を通りながら三田へ。
途中でダコタというハンバーガーやさんに立ち寄った。ダコタさん、田んぼに囲まれていた。なんて、「物語っているロケーションなんだ!」と思った。
小前さんのブログで何度か名前とかハンバーガーの写真が出ているので「ここか~」と思いながら。
オーナーさんは、うちのワークキャップをかぶってくれていた。これがまた、カッコよかった!一見して、ちょっと何の素材なのか?分からなかったけど、シャンブレーだった。そのくらい味が出まくっていて、馴染みまくっていて、名前のとおり まぎれもない「ワークキャップ」で、思わずいままで何人もの人が口にしたであろう名言じみた一言がうかんだ
「洋服は人が着ることで完成する」
的なことなんだけど、本当にそう感じた。僕が作ったのは、デザイン。デザインは「選ぶ」という時に必要不可欠なポイントで、僕が作れるのは実はそれまで。手に取っていただいてから、その先は当たり前だけど、身につける人それぞれの1枚になっていく。作業服なんて、それこそだと思う。
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TATAMIZEを始める前、宮城県にあるタイヤ工場で働いたことがある。
お金を貯めようとして働いた。そこで働く人は、当然に皆同じ作業服を着ているんだけど、ベテランのおじちゃんになればなるほど、渋く、自分のオリジナルな着こなしていて、半袖のまくり方、シャツの入れ方、ベルトの位置、ズボンの丈、靴紐の長さ。それは格好だけ真似したって追いつけないかっこよさで、その仕事を積み重ねてきたからこその深みとか味わいがあって、わざとらしく意識していない、にじみ出ているものなんだなぁと そう思いながら毎日見ていた。
「自分探し」と言って旅をするのは好きではない。知らない世界をみて色々視野を広げることはとても素晴らしい。でも単純に楽しむ旅行が好きだ。「楽しかった」だけでいい。
もっと素晴らしいのは 自分の出来る仕事を積み重ねて 味わい深く独特になっていくことで、逆に人を惹きつける人間になることだと思う。
僕には それがまだ出来ていない。だから、焦ることなく黙々と積み重ねていかないとならない。
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ダコタさんの被るワークキャップは、彼の一部になっていた。本当に作業帽として考えた帽子だから、嬉しかった。自分の作ったものが、こうやって誰かに届いて その人の一部のようになっているんだ。なれるんだ!と思った。いただいたハンバーガー。旨かった!旨いものを表現する言葉は「旨い」しかない。でも、旨いものを食っている時の人の顔はそれ以上を語ると思う。当然だけど、文章が味覚を超えることはない。肉が旨い!旨い!
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只今は12月4日。時刻は20時6分。師走だな。やることは沢山あるけれど、なんだかもう、もうここまで来たらもう・・「報われてほしい」いや「報われるんだろう?」と思っている。そうゆうもんだろ?ここまで来て・・
見えている一年の終わり。同じ年はないから、「仕舞い」じゃない「終わる」んだ。 久しぶりに
真島昌利 / さよならビリー・ザ・キッド
を聞いている。マーシーに、できることならなりたかった。できるだけ、できるだけ なりたかった。
仙台の大町に「二コル」という飲み屋さんがある。別に僕は常連じゃないけど、年に数回だけ「背筋正す」時には行く。うれしい時。特別な人と呑むとき。そして色んな理由があって、ブレそうなときに行くんだ。ぶれてない時も行きたいんだけど、なんだか適当には行きたくは無い。今日は久しぶりに行った。全部旨かった。気持ちよかった。小前さんとも、今年の春に行ったんだ。小前さんも、barnshelfのブログで書いてた。僕は二コルのブログを、最初からじゃないけど 数年読ませていただいている。「好き勝手やっているんですね?うちもそうなんです・・」と今日おっしゃっていた。好き勝手は「好き」だから「勝手」じゃないといられない、それを通すのは この世の中難しい!と思われるかも知れないけど、僕が好きな人は「当然」のように「好き」で「勝手」だ。株価のアレコレとか、右のものを左に移して「差額」で儲けようとしていない、「好き」で「勝手」なんだ。それが独特で、理屈があっても 理屈じゃ無いんだ。
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本日は2019年12月28日。師走どころか、多くの人達が昨日で仕事を収めネットニュースでは「Uターンラッシュ」なんて言っている。
クリスマスが過ぎ、いよいよ今年も粛々として「終わり」を迎えようとしている。2019年
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ダコタさんはオープンしてまだ1年くらい?ということだったろうか。それでも、あの包み込むような温かさはつくづく「見習わなくては」と思うものだった。
ダコタさんをあとにして、「キビトパン」というパン屋さんに連れて行っていただいた。
実は以前、小前さんからうちの帽子を被っているオーナーの写真を頂いたことがある。仕事で被ってもらえることが嬉しい。帽子って、その人の顔の上にあるものだから その人のキャラクターを引き立てる名脇役だと思っている。それを自分で選ぶんだから、選ばれる帽子を作っている側としたら、選ばれたらそれは光栄そのもの。勿論、仕事で被る被らないはそれぞれのスタイルがある。もし、帽子を被るスタイルだったとして その時に選ばれたとしたら、それはもう もう幸せの一言です。だって、仕事中って 自分が選んだ自分が出来ることで、人のために何かを作る時間でしょ? 誰かのために費やす時間の相棒的なものの一つに選んで頂けたら それはもうファッションを超えて純粋な「衣服」になれたようなものだと思っています。大袈裟と言われるかもですが・・・。キビトパンさん、大変美味しかったです!素直に。有難うございました! 今年の9月。東京の代々木富ヶ谷で展示会をした。毎日お昼ごはんを食べる時間は無かったのですが、最終日「どこかに・・・」と思ってプラプラして入ったパン屋さんが、キビトパンさんのお師匠さんのお店との事でした。後から知って、繋がって自分ひとりで嬉しくなった。
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