自分がいつも着ているお気に入りのシャツを、そのままご提案できるのは本当に幸せなことだと思います。
勿論、シャツに限らず、家具だって本だって・・・・
例えば種もそう。
自分が育てた野菜。美味しいと感じる野菜の種を採って、誰かにわける。貰った誰かも、その人の土地でその種をまいて、芽が出てやがて収穫し食べる。
そして「旨い!」がそこにあれば、言うことなし!ですね。
そして何よりも、それが最高なのは
双方がまいたのは、同じ種だけれども、それをまいた土地が違えば、結果として出来たものは、それぞれ何らかの違いがあるということ。
つまり、その土地にあった性質を持った種がまた採取できて、それを毎年育てることで、唯一無二の「この種」となるということです。
毎年、秋保の在来種となるべくして育てている小豆の種まきや草取り、収穫に参加させて頂いています。
他方からやって来た種が 移り住んだ土地で、在来種と言える種になるまでに、50年という時間が必要だということです。50年間生まれては産んで、そして死んでいくことを繰り返して。
もっともこの50年は、人間が判断して、色々な線を引くためでもあると思いますが、ようするにそれを始めるのが今の僕の年(43歳)ならば、子の世代まで引き継いで、やっとそう言えるという事です。
素晴らしいと思います。
50年以上同じ事を繰り返し、それを引き継いで、なおも宝の種のように毎年支えになってくれるかもしれないと思うと、そんな安心なことが他にあるのか?と思います。
残念ですが、僕たち人間が作ったもの。洋服とか家具とか・・・道路もトンネルもお金も
永遠に毎年、使うほどに、生まれ変わるようにしてどんどんと強く、そして新しくはなりません。修繕してつなぎ合わせていく事しか出来ません。
僕たちが作ったものは当然有限で、当たり前に役目を果たさなくなっていきます。新しい種を産んでくれたりもしません。
それでも人が手で作ったものには、愛情を持って付き合うことで
時間が経つにつれ、変えがたい存在になっていく場合があります。限られた時間を、愛着を持って過ごしたいと思える物。
僕がよく着ていて「良いよな」と思っているこのシャツは、恥ずかしながら僕の手前味噌なのですが、これをまた提案いたします。
誰かが手にして頂けたら、その誰かの元でまた、変えがたい一枚に育っていくと思います。何年も時間をかけながら。その過程の中で、ご自身のお気に入りのポイントが沢山生まれると思います。
何故そう思えるか?というと、勿論 僕の実体験からです。
手で何かを、自分で作っている人の多くは、時間が経ってなおも「変えがたい」存在になるものを 自然と選び形にする場合が多いと思います。
単に手作りだからとか「温かみ」とか、「手仕事」とか
聞きざわりの良さではなく、信頼できるのは
それを作る人をじっと広く見たときに感じられる背景や、本心だったりすると思います。
難しくストイックなことではなく、僕はこのシャツが好きで、良い!と思って自分で作っています。
何となく、深い部分で共感して頂ける人がいると思って、そこに自信を持って、作っています。
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なかなかすんなりと、アパレルらしく生地の説明とか特別感とか
やれ「落ち感」とかなんとか、「どのアイテムに似合います!」とか何とか、書いたらいいのかもしれませんが、そうゆうのは僕が書かなくたって、皆さん充分ある程度分かるでしょう。よくあるアパレル的文章。
洋服は着ることで「新しい自分になったような気がする」数少ないものです。
そしてまた、とても身近にあって、自分を正してくれる存在でもあります。
それだけ。それだけの事を作りたくて、僕は20年以上続けています。飽きもせず、しょうこりもなく。
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43歳で、今年44歳になります。二児の父親。長男は12歳の小6 次男は5歳の年長
来年は供に、中学生と小学生になります。
仙台市内の、自分の親世代が中心の住宅地に、中古の戸建てを6年ほど前に購入し、出来る限りのリホームやDIY、小さな敷地内に見よう見まねの家庭菜園などをやってみたりしています。
家庭的なトヨタのファミリーカーは今年で12年乗っております。
朝は6時頃には働き始め、夕方17時半までには仕事を終えるようにして、帰宅します。
通勤は無印の自転車です。
仕事終わりに、行きつけの飲み屋に寄ったりも あまりしません。普通に家族で夕飯をかこみ、夜21時頃 寝ます。
不織布のマスクを必要に応じてしています。
身長164センチ 体重は56キロ。 数字はここ何年も変わりませんが、シルエットは徐々に下に下に下がり、丸みをおびております。
髪も薄くなってきたきがします。
仕事は、これでも「ファッションデザイナー」です・・・。
ファッション業界というものの広さを、自分なんかがいるという事で感じます。
「トレンド」というものなんか、知りません。そうゆうの、あるんですか?
毎日毎日、自分で考えた洋服や帽子なんかを 切っては縫って切っては縫って・・・・
こんなにちっぽけな仕事なのですが、知っていただけている皆様に支えられながら、
時に、いや 大いに失敗や反省を繰り返し
うまくいかず落ち込み、うまく行った気がして浮かれ、そしてまた失敗し
子供の寝顔に、しょうも無い小さい根性を奮い立たせ、夜中仕事場に戻り 寝ずに縫いつづけたり
只今43歳。TATAMIZEという屋号としては18年。
よろよろと、のらりくらりと、しぶとくしぶとく 洋服を作っております。
誰もが羨む、お洒落がつまったライフスタイルは、私にはございません。どこにでもある、ごくごく一般的な暮らしと 愛する家族が、こんな私にもある。
それだけで幸せです。
お洒落で、最先端で、カフェに行ってコーヒーをすすったり
雰囲気のある感じで歩いている姿を写真に撮ったりしたり
外国の透明感あるモデルさんに来てもらってLOOK BOOKを作ったり
「その業界の人」と親しい感じでSNSで繋がったりとか
していなくて申し訳ない。
だけど、私の作るものは独特で、私らしいと胸を張っていえます。 まぁ言うだけなら 誰だってできるけど
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このシャツは僕に安心をくれます。
何度も言いますが、今年で44歳。いいおじさんです。
若かりし頃、何を着たってそれなりに似合うように着られました。似合うように着る事が楽しかった。
ようするに「自分が変わったような感覚」を100%で楽しめました。
今も、新しい洋服を着れば それなりに「新しい自分」ではあるのですが、もういい加減「自分」が出来上がりつつありますので、「新しい自分」に陶酔するようなことはありません。
「新しい」というよりも、ちゃんと洋服を選ぶ事で、自分を「正している」感覚だと思います。
ちゃんと髪を切るとか、髭をそったり整えたりするとか、整理整頓するとか、呑み過ぎないとか・・・・
自分を正す事が必要になってくると思います。
気がつかずのうちに、ダラシナイのが そのままダラシナク自分を包み込んでしまいます。
20年前なら、だらしなくても それを「あり」に出来る透明感のあった自分も
すっかり、だらしないが似合う年齢になってしまいました。お洒落どころか洒落にもなりません。
別におっさんになりたくないとか、若くいたいとは思いません。
ただ、自分が思う、年相応の感じは正していたい。
このシャツは、僕に安心をくれます。
このシャツを着ていると、どこでだって無理の無い 背伸びもよれもしていない、自分が思う年相応の自分でいられる気がします。
そして、この先もきっと、そんなシャツとして手にする気がしています。
細かいディティールの説明は、僕はデザイナーであり作り手ですから、あなたがうんざりするくらい語ったり出来ますが、「だから良い」のではなく
作り手の背景から感じられる感覚や本心を、せっかく文章なのですから書かせて頂きました。
分かりにくかったら申し訳ないです。
素材は綾織のリネン100%
色はネイビーとオリーブ どちらも絶妙な色合いです。本当に手とって感じていただきたい!
オーバーサイズではございませんが、適度にリラックスした着用感です。
2018年くらいに作ったシャツを今年も提案します。 きっとずっと提案していきます。
是非一度、お試しくださいませ。
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